外壁塗装の減価償却の仕組みを活用して節税する
所有マンションや所有アパートなどで、賃貸事業を継続して行うには、必ずメンテナンスや改装などの設備投資が必要です。比較的規模の大きな建物のメンテナンスでは、外壁塗装工事がよく実施されています。
外壁塗装工事も高額な費用がかかります。しかし、減価償却の仕組みを活用すれば、多額の税金の支払いを抑えることができ、節税が可能です。
今回は、知っている方は多いとは思いますが、これから賃貸経営を始める方のために、簡単に減価償却の仕組みを利用した外壁塗装工事の節税方法について解説していきます。
外壁塗装工事の経費の分類
外壁塗装工事は、耐用年数に応じて毎年経費を分割計上する「資本的支出」と外壁塗装工事を実施した年に「修繕費」として全額計上する2つのパターンに分けることができます。
減価償却の仕組みを利用するのは、「資本的支出」の場合です。
資本的支出とは?
外壁塗装により、建物の資産価値が向上したり、外壁のデザインを一新したりする場合には、外壁塗装工事は、修繕費ではなく資本的支出となります。
資本的支出となる外壁塗装工事の具体例は、前回よりもグレードや耐久性の高い塗料を使って塗装する場合や色を一新したり、意匠性の高い魅力的なデザインに塗り替えたりする場合です。塗装でもデザインを重視することがあり、豪華な外観に変える場合には、資本的支出とみなされます。
資本的支出では、修繕目的の工事よりも、大幅に建物の価値が向上します。そのため、建物に追加資産計上され、耐用年数に応じて減価償却費として、毎年分割して経費として計上していきます。
分類は、税法により細かく分かれていますので、税理士や税務署などにも一度相談してから決めるようにしましょう。
減価償却の節税効果
外壁塗装工事の費用は高額です。工事を実施した年だけに経費計上が固まると、その後の節税効果が期待できません。一時的にしか節税できず、赤字の場合は節税効果もありません。
赤字の場合では、減価償却費を計上しない場合もあります。資本的支出とした場合、毎年の賃貸収入に合わせて、一定の減価償却費の計上があることから、経費を繰り延べしながら、毎年節税効果を享受できます。
塗装する建物の償却期間を採用
減価償却費には償却期間があります。ここで注意する点は、償却期間は塗料の償却期間ではなく、塗装する建物の耐用年数が償却期間になっていることです。
例えば、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)なら、住宅用で47年、事務所用で50年です。木造モルタルの建物なら、住宅用で20年、事務所用で22年です。
塗料の耐用年数が10年程度であっても、外壁塗装工事が資本的支出とされた場合は、47年や20年といった長期間の償却期間で減価償却費を計上する必要があります。
工事費用が高いので毎年の節税効果もそこそこ出ます。減価償却の仕組みを正しく理解して、必ず節税を行うようにしてください。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。