屋根の縁切りとは?
屋根の縁切りというと、屋根の塗装をするときに必要となる重要な作業です。場合によっては、縁切りをしないこともありますし、タスペーサーを使って作業すると、縁切りと同じ効果が得られます。今回は、縁切りについての基本的な知識をご紹介します。
屋根を塗装する場合は縁切りが重要
縁切りが必要な屋根とは、塗装する必要のあるスレート屋根やセメント屋根などです。塗装の必要がない和瓦や洋瓦は、縁切りが不要です。塗装時に縁切りが必要な理由は、スレート瓦などは、雨水が下から入ってこないように隙間を少し開けて、一枚一枚重ねながら屋根の上に敷き詰められているからです。隙間の間隔が小さいと塗料がくっついて隙間を塞いでしまうことがあります。
塗装後にスレートのつなぎ目が塞がったままだと、屋根の内部に湿気や水が溜まるようになります。屋根の内部は、外から雨水が入らない場合でも、結露や湿気が多くなり、木材が腐食しやすくなっています。屋根の隙間を塗料で塞がないためにも「縁切り」作業の工程はとても重要です。
作業に時間がかかる「縁切り」
従来の縁切りの方法は、中塗り・上塗り塗装を実施し、乾燥が終わった後に行う作業で、カッターなどで一つ一つ屋根の隙間に切り込みを入れるような時間のかかる作業でした。カッターや皮スキなどの工具を使って縁切り作業を行います。
こうした縁切り作業は、塗装後に作業しますので、塗装した塗膜が剥がれてしまうことがあります。屋根材を破損したり、足跡がついたりします。そのため、タスペーサーを使った作業が行われるようになっています。
縁切り作業の時間短縮にはタスペーサー工法
タスペーサーを使うと、従来の縁切り作業は不要となり、下塗りが終了した後に、屋根と屋根の隙間に挿入し、塗装時の塗料による隙間の塞ぎを防止できます。タスペーサーは、屋根材一枚に対して偏りがないように2か所設置します。
タスペーサーの使用枚数は、30坪の面積の屋根なら、約1000個です。タスペーサーは、3~5万円程度の費用がかかります。
縁切り作業は、作業にとても手間がかかります。時間短縮や人件費削減で縁切り作業をしない塗装業者もあります。屋根塗装時は、見積り段階で必ず縁切り作業の有無と作業内容、価格を確認してください。
タスペーサーが使えないケース
屋根の塗装時でもタスペーサーを使用しない場合があります。例えば、屋根の隙間が4ミリ以上あるときは、タスペーサーを必要とせず、塗装しても隙間が残るからです。屋根材は太陽光により劣化し、時間の経過とともに反っていきます。タスペーサーを使用する必要がない箇所もありますので知っておいてください。
また、石綿(アスベスト)を含まない無石綿スレートの場合は、タスペーサーを設置するとひび割れを起こしやすくなっていることがあります。2000代の初期のスレート屋根材の場合に、タスペーサーを使用するときは注意すべき事項になります。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。