屋根の漆喰が劣化した時の弊害
屋根瓦は丈夫で耐久性がありますが、瓦に使われている漆喰(しっくい)には、寿命があります。漆喰が劣化するとどのような悪影響や弊害が生じるのでしょうか?
屋根における漆喰の役割
漆喰は、建築資材の中でも用途が広く、いろいろな箇所に使われてきました。
屋根に使われる瓦の固定以外にも石材の固定にも使用されています。さらに、目地の充填や外壁に使われたりしています。見た目も美しい白色です。
漆喰をそのまま使用したとしても、意匠性の高い外壁や瓦の漆喰にも応用できるほどですので、外観の美しさを重視する美意識の高い日本人にもぴったりの素材です。
そして、通気性の良さも漆喰の大きなメリットの一つです。湿度に応じて、水分を吸収したり、吐き出したりする役割があります。こうした理由から、湿度の高い日本家屋で漆喰が好まれてきたのも偶然ではないことがよくわかります。
漆喰が崩れていると、地震時に屋根の上から割れた瓦や漆喰が落下したり、大雨のときに漆喰の割れ目から雨水が浸入し雨漏りが発生したりすることがあります。
漆喰の寿命は約20年
普通に生活していたとしても、漆喰は外の自然環境に常に晒されています。漆喰の寿命も約20年程度です。瓦と棟部分の瓦を密着させて固定していた漆喰も劣化すると、ひび割れが生じ、突風や振動でも剥がれ落ちてしまうことがありそのまま放置すると危険です。こうした理由から、漆喰は定期的に塗り直し工事が必要だと言われています。
漆喰は定期的に塗り直す
漆喰は、約20年で劣化します。瓦よりも寿命が短いので、定期的に塗り直しを行う必要があります。漆喰の補修工事では、漆喰の「詰め直し工事」や「棟瓦取り直し工事」がよく行われています。劣化症状が軽い場合は、詰め直し工事でも問題ありません。補修費用も低く抑えられます。
しかし、古い漆喰を全て取り出し、詰め直す工事は、棟瓦を取り外す必要があり、大掛かりな工事となります。費用も高額になりますので、外部から漆喰の剥がれや崩れが見られた場合は、屋根瓦や漆喰の点検を行い、屋内で雨漏りが生じていないかをよく確認してから補修工事や漆喰の塗り直し工事を依頼する必要があるでしょう。
意外に多い漆喰工事の詐欺被害
訪問業者による漆喰工事の詐欺被害が多くなっています。漆喰の状態は、家の外側からでもすぐに見えてしまい、見つかれば悪質な訪問業者の被害に遭うことが多くなります。
訪問業者に漆喰のひび割れや崩れを指摘されても、すぐに点検や工事を依頼せずに、信頼できる瓦専門の補修業者や屋根点検業者に相談した上で、漆喰が補修すべき状態にあるのかどうかを判断して工事を依頼してください。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。