スカイツリーに使われた塗料は?
高層建築物は、建てるときだけではなく、建てた後のメンテナンスがとても重要です。メンテナンス次第で、100年以上も寿命を延ばすことができます。東京スカイツリーや六本木ヒルズなどの日本を代表する高層建築物やタワーマンションなどには、フッ素塗料などの耐候性や耐久性の高い優れた塗料が使われています。
耐候性の高い特殊なフッ素塗料
東京スカイツリーで使われた塗料といえば、フッ素塗料です。塗料名は、「VフロンHB」というもので、著名メーカーの大日本塗料が取り扱う製品です。この塗料は、耐候性が高いというメリットの他にも環境に配慮した素材が使用されています。
塗料には有機溶剤が大量に含まれています。巨大建造物や高層建築物には、大量の塗料を使用します。こうした高層建築物には、フッ素塗料の中でも有機溶剤をできる限り使用しておらず、ミストコート工程などを省略した特殊なフッ素塗料が選ばれています。
「VフロンHB」は、揮発性有機化合物の対策を徹底して行い、抑制・低減できる効果が高く、高層建築物の塗装以外にも、橋梁、プラント、鉄塔などの新設や塗り替えなどに採用されるようになりました。
日本を代表するランドマーク的存在の東京スカイツリーに使われたことで、長期的な防食性、耐久性、耐候性などのさまざまなフッ素塗料の優れた効果を実証できたことになります。
メンテナンスは25年ごと
東京スカイツリーは、鉄骨造りです。そのため、錆びや腐食などに特に注意しなければなりません。主なメンテナンス方法は、再塗装になるでしょう。東京スカイツリーに100年以上の寿命をもたせたいと考えるなら、特殊なフッ素塗料を使用し、25年のサイクルで再塗装メンテナンスを行う必要があるでしょう。
「VフロンHB」は、重防食厚膜形フッ素樹脂塗装です。フッ素塗料の下には、フッ素樹脂塗料とジンクリッチペイントの塗装が施されています。高い防食性により、通常のフッ素樹脂塗料の寿命をはるかに超える長寿命が実現できています。
高コストでも塗り回数が少ない
特殊なフッ素塗料「VフロンHB」ですが、従来は、「VフロンHB」と同等の防食性と耐久性を得ようとするなら、5回も塗装工程が必要でした。しかし、「VフロンHB」を東京スカイツリーに塗装したときには、3回の塗装で従来の塗装方法と同等以上の性能が得られるようになっています。
塗り回数が少なくて済むと、VOCの排出量も少なくなり、塗り替え時にも環境負荷を大幅に低減することができます。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。