瓦に塗装は必要?
屋根には塗装が不要だ、という先入観があると、塗装が必要な屋根材に注意が向かなくなります。瓦は、長寿命ですが、その素材の種類によっては、塗装が必要となることがあります。
今回は、塗装すべき瓦についてのご説明と陶器製の日本瓦には塗装が必ずしも必要ではない点について解説していきます。
塗装が必要な瓦「セメント瓦」「モニエル瓦」
粘土で形を作り、焼いて作った陶器製の日本瓦は、寿命が50年以上あります。
陶器製の瓦は、塗装などのメンテナンスが不要で、大切に使えば、昔の建築物と同じように長期間使えることがすでに実証されています。
しかし、セメント瓦やモニエル瓦は、瓦と異なり寿命が短く、表面の塗装による塗膜が瓦の寿命を決めてしまいます。セメント瓦やモニエル瓦は、形は瓦とよく似ていますが、焼いて作った瓦ではなく、スレートのように成型した後、塗装による着色で表面を保護し、防水性を高めています。
セメント瓦やモニエル瓦は粘土瓦とは大きく異なる
陶器製の瓦とは、素材や製造法も異なるセメント瓦やモニエル瓦ですが、日本瓦とは形や大きさが異なり、よく見ると見分けることができます。セメント瓦は、断面や角が角ばっています。デザイン性に富んでおり、装飾が多いのもセメント瓦の特徴です。陶器瓦は、表面が滑らかですが、セメント瓦はゴツゴツしたイメージの表面に仕上がっています。
セメント瓦やモニエル瓦は、塗料の塗膜が防水性能を発揮して、表面を保護しやいます。主成分はセメントですが、塗膜が薄くなってきたり、塗装していない場合は、水が染み込んでしまいます。内部に水が染み込むとセメントの成分であるカルシウムが溶けだし、強度が落ちボロボロになっていきます。
強度が落ちると、割れや欠けなどが発生しやすく、屋根の上を歩いたときや地震の揺れにより割れてしまうことがありますので注意を要します。セメント瓦やモニエル瓦は、塗料の塗膜の寿命が過ぎる前に塗装メンテナンスが必要です。
寿命を重視することが多いので、セメント瓦やモニエル瓦は、新築住宅ではあまり使用されなくなってきており、寿命の長い瓦屋根のほうが長期的にみてコスパに優れているといっていいでしょう。
セメント瓦やモニエル瓦は塗装が難しい屋根材
セメント瓦やモニエル瓦は、両方ともセメントが原材料になっていますが、全く別の屋根材として施工されています。また、使用する塗料の種類や塗装方法なども全く異なりますので、間違えて塗装すると施工不良が起きやすく、トラブルが多いことで有名です。
塗装方法が異なり、間違いやすいだけではなく、塗装が難しいので施工不良が起きやすいのが難点です。これらの瓦は、粘土瓦・日本瓦に比べると耐用年数が短いうえに、塗装方法が難しく、メンテナンスにも手間がかかります。
現在、屋根材にセメント瓦やモニエル瓦を使用している場合は、塗装メンテナンスを怠ることのないようにし、数少ない信頼できる塗装業者を探す必要があるでしょう。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。