寒冷地に多いサイディングの凍害に注意
外壁材で窯業系や金属系のサイディングを使用することが増えています。
寒冷地に限っては、メリットの多いとされているサイディングも「凍害」の被害に遭う恐れがあり注意を要します。
ここでは、寒冷地でなぜサイディングの凍害被害が多いのかについて解説していきましょう。
全国どこででも発生する凍害!
窯業系サイディングに多い「凍害」は、外壁材が凍ることによって発生する劣化症状です。
外壁には、シーリングの隙間、ひび割れ、窓やサッシ周りなどの隙間がたくさんあります。
雨漏りは、こうした隙間から雨水が染み込んで発生しますが、凍害は雨が染み込んで湿った状態になった後、水分が凍結し、暖かくなると融解することで、少しずつ外壁材がボロボロになっていく現象のことです。
水が氷ると体積が膨張する性質があります。水分が多い場合や繰り返し凍結や融解を繰り返すと、次第にひび割れがひどくなりサイディングボードが割れてしまうことがあります。
凍害は、経年劣化で起こる自然現象です。凍害が当然起こるものと考えて、外壁塗装などのメンテナンスをきちんと行うようにしましょう。
サイディングが剥がれ落ちる凍害
凍害の進行状態を4段階に分けると、ポップアウト、微細凍害、スケーリング、崩壊という順番です。
コンクリート外壁を例にとると、ポップアウトは凍害の初期症状です。骨材粒子が水分を含んで膨張し破壊するようになると円錐状の剥離が起こります。
その後、外壁内側の微細なひび割れが発生します。
さらにひび割れが進行すると、スケーリングといって表面が欠片になって剥がれてしまいます。
最後には、欠片は小さな塊になってまとまって崩れ落ちていきます。
この状態まで放置すると、外壁近くを歩く人にも怪我をさせる恐れがあります。
外壁材の補修や張り替え工事を実施しなければならないでしょう。
凍害を放置すると外壁材の張り替えが必要
外壁材は経年劣化し古くなっていきます。サイディングボードであってもコンクリート外壁と同じように劣化してボロボロになってしまいます。
凍害であっても最終的にはサイディングの張り替え工事を行います。
凍害がひどい場合は、耐用年数前に張り替え工事を行うのはやむを得ないでしょう。
凍害による外壁材の部分的な破損に対しては、パテによる部分補修が有効です。
外壁材の塗り替えは凍害が発生していない状態なら有効な予防対策です。防水性や耐候性が向上し、凍害が発生しにくくなります。耐用年数が長く、機能性の高いシリコン系やフッ素系の塗料を塗ると凍害の被害も予防できます。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。