外壁塗装で重要な下地処理
外壁塗装は、建物の外観を美しくきれいに見せるために行います。しかし、他にも建物を保護する目的があります。
どの目的であっても、下地処理を怠ると、外壁塗装の塗膜が早期に劣化し、剥がれたり、ひび割れが発生したりします。塗装直後の塗装トラブルは、下地処理の失敗や手抜きであることが多いので下地処理をきちんと行う塗装業者を選ぶようにしましょう。
下地処理が重要な理由
外壁塗装は、使用する塗料の密着度が低いと素材にうまく密着せずに剥がれやすくなったり、ひび割れや膨れなどの症状が出たりします。
そのため、あらかじめ下地処理の工程で塗装面をきれいにし、使う塗料のことを考えて密着度を高める処理を行っています。
丁寧な下地処理で、塗膜がよく密着し、耐久性が高まります。塗装の寿命が延びますので、メンテナンス機会も減り、コストにも反映されます。次に下地処理をしなかった場合のリスクについてご説明します。
下地処理しないとどうなる?
ひび割れの発生
下地処理では、必ず外壁材表面のひび割れの補修を行います。ヘアークラックなどの場合は、弾性の高い塗料でひび割れを目立たなくすることができますが、構造クラックなどの溝が深く、目立つひび割れになると、補修を行い、雨水の浸入を止める必要があります。
大小のひび割れは必ず発生するものです。ひび割れを補修せずに塗装すると、すぐにひび割れが発生し、塗膜の保護機能が失われ、外壁材が早期に劣化してしまうでしょう。
塗膜が剥離する
塗膜の剥離は、塗装前に古い塗膜をきちんと取り除かなかったことにより発生します。下地処理では、高圧洗浄やケレンなどの汚れや旧塗膜を落とす作業が必ず実施されています。
汚れなどが残っていると、新しい塗料の塗膜が付着しにくくなり、塗膜の剥離を起こしやすくなります。塗膜の膨れなども同様の理由で発生します。
下地に合わない塗料で塗装した場合や規定外の塗布量、塗装工程の省略などが行われると、塗膜の剥離が発生しやすくなります。
塗膜の膨れ
塗料の透湿性が低い場合に、湿気が溜まりやすくなりその箇所の塗膜が膨れやすくなります。外壁材と塗料の相性などをよく考慮して下塗り、上塗りに使う塗料の組み合わせを選びましょう。
外壁材の内側や地面などからも湿気が入ることがあります。透湿性をよく考えた塗料選びは素人には難しく、専門家にしかできないことです。
主な下地処理
下地処理で重要な作業は、ケレン、高圧洗浄、クラック補修です。
ケレン
錆びや旧塗膜を除去します。サンドペーパーやサンダー、電動工具を使います。細かい傷をつけることで、塗料と下地の密着度が高まります。
ケレンは1種~4種まであります。一般住宅では主に3種です。汚れの除去だけなら4種ケレンが実施されています。
高圧洗浄
高圧洗浄機は、加圧した高圧水を噴射し汚れ、カビ、旧塗膜を除去します。汚れなどが残らないように外壁面をきれいにし、作業後はしっかりと乾燥させます。
作業時には養生を行い、汚水が飛散しないようにします。圧力が強いので、高圧水で壊れてしまうようなものがあれば、移動し取り除くか養生します。
クラック補修
凹凸が出ないようにひび割れや構造クラックを補修します。シーリング材を充填しての補修やパテ補修など、素材や場所に応じた補修方法を実施します。シーリングガンやゴムヘラなどを使用します。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。